衝動買いをやめる方法:本物の研究に裏打ちされたテクニック
要点 - 衝動買いとは、じっくり考える段階を飛ばして湧き上がる突然の欲求であって、意志が弱い証拠ではありません。 - いちばん信頼できる対策は、短い「間」を足すこと。衝動は急上昇して、それから引いていきます。 - さらに、支払いをもう一度「実感できる」ものにする、引き金を取り除く、前もって決めておく、買い物の裏にある気分に対処する、で補強しましょう。 - 「意志力の残量」に頼らないこと。意志力が燃料タンクのように減っていくという考えは、大規模な再現実験で崩れました。代わりに、あなたの環境を設計しましょう。 - 新しい習慣には時間がかかります。21日ではなく、中央値でおよそ66日です。
ほとんど誰もが経験したことがあるはずです。何かを買うつもりはなかった。数分後には受信箱に注文確認メールが届き、その後ろに「なんで買っちゃったんだろう」という静かなつぶやきが居座っている。
もしそれが変えたいパターンなら、このガイドは実践的な出発点です。以下のテクニックはどれも、買いたいという衝動が実際にどう働くかについての本物の研究に裏打ちされています。根性論のスローガンでも、でっち上げの統計でもありません。合うものも合わないものもあるでしょう。目的は、信頼できる道具をいくつかと、それぞれの理屈をお渡しして、あなたが使えるものを選べるようにすることです。
まず、衝動買いとは実際に何なのか
研究者は衝動買いを、あまり熟考せずに訪れる、突然で強い購買欲求だと説明します。決断というより、自分の身に起きる何かのように感じられるのです(Rook, 1987)。ここは少し立ち止まる価値があります。というのも、これは問題そのものを捉え直してくれるからです。あなたはその場で規律を保つことに失敗しているのではありません。議論そのものを飛ばすようにできている衝動を、議論で言い負かそうとしているのです。
うれしいことに、衝動が「熟考をショートさせる」ことで働くのなら、実際に役立つことの多くは熟考を戻すことで働きます。こうした衝動がどこから来るのかの深い説明はなぜ衝動買いをしてしまうのかをご覧ください。道具だけ知りたいなら、このまま読み進めてください。
1. 欲しいと感じてから、買うまでのあいだに時間を置く
これがいちばん信頼できる一手です。なぜなら、仕組みそのものを狙い撃ちにするからです。買いたいという衝動はたいてい急上昇して、それから引いていきます。誘惑の瞬間に感じる強さは一時的なもので、たいてい「待つ」ことを生き延びません(Hoch & Loewenstein, 1991)。待つことは、長期的な自分にも一票を与えます。私たちは誰しも、目の前のものを重く見て、将来のものを割り引くようにできています。経済学者が「現在バイアス」と呼ぶパターンです(Frederick, Loewenstein & O'Donoghue, 2002)。「間」を置けば、未来が追いつけます。
実践では、決まった待ちのルールを取り入れましょう。小さな買い物には24時間ルールを、大きな買い物にはもっと長い期間を。自分だけの冷却期間をつくることもできます。大事なのはルールの中身よりも、実際に守れるルールを一つ持つことです。
2. 支払いをもう一度「実感できる」ものにする
支払いが簡単なほど、あなたはたくさん使います。管理された実験では、現金よりカードを使うとき、人はかなり多く払ってもよいと考えました。あるオークションでは、カードの入札額がおよそ2倍にのぼりました(Prelec & Simester, 2001)。理由の一つは、お金を使うことが小さな「痛み」として記録され、摩擦のない支払いがそれを鈍らせるからです。脳イメージング研究は、気の進まない価格を目にする瞬間を、不快感に関わる領域の活動と結びつけています(Knutson et al., 2007)。そもそもその痛みがどれだけ記録されるかにも、人によって差があります(Rick, Cryder & Loewenstein, 2008)。
実践では、少しだけ摩擦を戻しましょう。登録済みのカードを削除し、ワンクリック決済や保存済みウォレットをオフにし、使いすぎるカテゴリーでは実感できる払い方を試してみてください。詳しくは現金で払って使いすぎを防ぐと現金 vs. カードをご覧ください。
3. 引き金があなたに届く前に取り除く
自制心は、自分の行動を把握していないとき、そして短期的な目標(今すぐ気分をよくする)が長期的な目標(貯金する)と静かに競り合っているときに、より頻繁に失敗します(Baumeister, 2002)。衝動買いの多くは、そもそも意志力の勝負ですらありません。プロモーションメール、カウントダウンの煽り、うまく配置された商品への、引き金を引かれた反応です。品薄や「期間限定」の合図は、私たちがそれをどれだけ欲しがるかを実際に高めますし(Worchel, Lee & Adewole, 1975)、店内の合図は計画外の買い物を劇的に押し上げます。ある大規模な研究では、計画外購入の割合が、基準の46%から、環境によっては93%にまで上昇しました(Inman, Winer & Ferraro, 2009)。
学びは「もっと意志力を持て」ではありません。「出会う引き金を減らせ」です。配信を解除し、フォローを外し、ログアウトし、あなたを引き込むアプリを消しましょう。詳しくは買い物の引き金を取り除くをご覧ください。
4. その場ではなく、前もって決めておく
大きく言えば、自制の戦略は二つの系統に分かれます。欲求そのものを減らすか、欲求に意志力でぶつかるか、です(Hoch & Loewenstein, 1991)。前もって決めておくこと、つまりそのものの前に立つ前に決めることは、前者の系統に寄りかかります。そしてこちらのほうが長持ちします。あらかじめ決めたルールやリストがあれば、衝動が現れたときには、難しい選択はすでに済んでいます。
これは、微妙な罠も防ぎます。一つの買い物は、次の買い物への潤滑油になりがちです。最初の一つを買うと、「はい、そしてもう一つ」という心の枠組みに移り、さらに買うことが自然に感じられるようになります(Dhar, Huber & Khan, 2007)。一つの計画されたリスト、あるいは範囲を決めた無買チャレンジは、その勢いが始まるのを防ぎます。短い購入前チェックリストは、その場で同じ役割を果たします。
5. カートではなく、気分に対処する
ときには、本当に欲しいものはカートの中のものではありません。気分が沈んでいると、私たちは気持ちを持ち上げようと計画外の「ごほうび」に手を伸ばしがちです(Atalay & Meloy, 2011)。それは性格の欠点ではないし、いつも後悔すべきものでもありません。ただ、その買い物が本当は気分を立て直そうとする試みだと気づけると、それを意図して選ぶこともできるし、別の道を見つけることもできます。詳しくは感情的な買い物と「買い物療法」は本当に効くのかをご覧ください。
意志力について、ひとこと
意志力は一日を通じて減っていく燃料タンクのようなものだ、という考えにもとづくアドバイスをたくさん目にするでしょう。それには少し懐疑的でいてください。その理論の最も強い形、つまり自制心は使うと尽きる限られた資源で動いているという説は、23の研究室が力を合わせて再現しようとしたとき、持ちこたえられませんでした(Hagger et al., 2016)。意志力が偽物だと言っているのではありません。意志力に頼るのは心もとない、と言っているのです。衝動があまり現れないように環境を設計するほうが、一つひとつの対決に勝とうとするより頼りになります。
時間については現実的に
新しい習慣は一晩では根づきませんし、「21日」でも根づきません。あの数字は俗説です。研究者が実際に測ってみると、行動が自動的に感じられるようになるまでの時間は大きくばらつき、中央値でおよそ66日でした(Lally et al., 2010)。ゆっくりで、でこぼこした曲線を見込んでください。そして、うまくいかない日を「失敗」と読み替えないでください。詳しくは買い物の習慣を断ち切るをご覧ください。
道具が助けになるところ
このガイドが繰り返し戻ってくる二つのてこ、つまり「間」を足すことと、摩擦のない支払い方法を取り除くことは、まさに熱くなった瞬間には実行しにくい一手です。それこそが ImpulseShield を埋めるためにつくられた隙間です。衝動と購入のあいだに、意図的な「間」を、あなただけの、あなたのデバイスの中で保ちます。
これを一連の対処法ではなく、続けていく実践として捉えたいなら、意識的な支出がこれらの考えを一つに束ねています。
関連記事
- なぜ衝動買いをしてしまうのか? — 衝動の裏にある心理
- 買い物の24時間ルール — いちばんシンプルな出発点
- 購入前の冷却期間とは?
- 無買チャレンジ — 仕切り直しの仕組み
- 感情的な買い物 — 衝動が本当は気分についてのものであるとき
- 買う前に自分に問いかける質問
参考文献
- Rook, D. W. (1987). The Buying Impulse. Journal of Consumer Research, 14(2), 189–199. https://academic.oup.com/jcr/article-abstract/14/2/189/1830380
- Hoch, S. J., & Loewenstein, G. F. (1991). Time-Inconsistent Preferences and Consumer Self-Control. Journal of Consumer Research, 17(4), 492–507. https://academic.oup.com/jcr/article-abstract/17/4/492/1797243
- Frederick, S., Loewenstein, G., & O'Donoghue, T. (2002). Time Discounting and Time Preference: A Critical Review. Journal of Economic Literature, 40(2), 351–401. https://www.researchgate.net/publication/4981445_Time_Discounting_and_Time_Preference_A_Critical_Review
- Prelec, D., & Simester, D. (2001). Always Leave Home Without It. Marketing Letters, 12(1), 5–12. https://link.springer.com/article/10.1023/A:1008196717017
- Knutson, B., Rick, S., Wimmer, G. E., Prelec, D., & Loewenstein, G. (2007). Neural Predictors of Purchases. Neuron, 53(1), 147–156. https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(06)00904-4
- Rick, S., Cryder, C. E., & Loewenstein, G. (2008). Tightwads and Spendthrifts. Journal of Consumer Research, 34(6), 767–782. https://academic.oup.com/jcr/article-abstract/34/6/767/1845388
- Baumeister, R. F. (2002). Yielding to Temptation: Self-Control Failure, Impulsive Purchasing, and Consumer Behavior. Journal of Consumer Research, 28(4), 670–676. https://academic.oup.com/jcr/article/28/4/670/1785555
- Worchel, S., Lee, J., & Adewole, A. (1975). Effects of Supply and Demand on Ratings of Object Value. Journal of Personality and Social Psychology, 32(5), 906–914. https://www.semanticscholar.org/paper/Effects-of-Supply-and-Demand-on-Ratings-of-Object-Worchel-Lee/e80a3b8c8b27fa69cc6f4fb4c4e497f705f07a89
- Inman, J. J., Winer, R. S., & Ferraro, R. (2009). The Interplay Among Category Characteristics, Customer Characteristics, and Customer Activities on In-Store Decision Making. Journal of Marketing, 73(5), 19–29. https://journals.sagepub.com/doi/10.1509/jmkg.73.5.19
- Dhar, R., Huber, J., & Khan, U. (2007). The Shopping Momentum Effect. Journal of Marketing Research, 44(3), 370–378. https://journals.sagepub.com/doi/10.1509/jmkr.44.3.370
- Atalay, A. S., & Meloy, M. G. (2011). Retail Therapy: A Strategic Effort to Improve Mood. Psychology & Marketing, 28(6), 638–659. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/mar.20404
- Hagger, M. S., et al. (2016). A Multilab Preregistered Replication of the Ego-Depletion Effect. Perspectives on Psychological Science, 11(4). https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1745691616652873
- Lally, P., van Jaarsveld, C. H. M., Potts, H. W. W., & Wardle, J. (2010). How Are Habits Formed: Modelling Habit Formation in the Real World. European Journal of Social Psychology, 40(6), 998–1009. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/ejsp.674